推定患者数は800万人
加齢や肥満が主な原因
加齢や肥満が主な原因
多くの人が悩む膝の痛み。膝が痛いと歩くのがおっくうになるため、生活の質(QOL)が大きく低下し、ひいては介護の要因にもなりかねません。今回は「変形性膝関節症」について、愛媛大学整形外科の三浦裕正教授のお話です。
男性よりも女性に多い
膝の関節は、「大腿骨」「脛骨」「膝蓋骨」から構成されています。それぞれの骨の接触面は「軟骨」で覆われており、膝にかかる衝撃を吸収したり、関節の動きをスムーズにしています。
「関節軟骨」は厚さが2~4ミリで、加齢とともに徐々に摩耗し、損傷していきます。これを「退行変性」といい、いわゆる老化現象の一つです。加えて、肥満や運動不足などによる筋力の低下も、軟骨の損傷につながります。
「関節軟骨」がすり減り、クッションの役割が失われると、骨どうしが接触し「骨棘」と呼ばれる骨の突起ができてきます。「骨棘」や「関節軟骨」の破片などが関節周囲にある「滑膜」を刺激して炎症を引き起こすことがあり、痛みを感じます。
これを「変形性膝関節症」といい、特に重い物を持ったり、階段の上り下り、立ち上がる時などに症状がひどくなります。病状が進むと、軟骨だけでなく、骨そのものが損傷することもある進行性の疾病です。
ある調査では、日本人の2500万人が、この病気の可能性があり、約800万人は痛みなどの症状を伴う患者数と推計されています。男性よりも女性に多い疾患です。
いずれにせよ、加齢に伴う膝関節の老化は防ぐことができません。そのためにも、膝に負担のかかる肥満には注意し、日頃から適度な運動を心掛けましょう。