コラムより・震災の記憶をつなぐ「ど根性ヒマワリ」
鉢植えで育てていた「ど根性ヒマワリ」が今年も咲いた。ベランダが明るくなり、梅雨のうっとうしい気分が吹き飛んだ▼東日本大震災が起きて迎えた最初の夏(2011年)。がれきの中から茎をねじ曲げながらも懸命に伸び、大輪の花を咲かせた「ど根性ヒマワリ」は、被災者の生きる希望となった。その1世の種は希望のメッセージとともに各地に広がり、今年咲いたのは10世となる▼なぜ1世、2世、3世と数えるのか。ど根性ヒマワリを見つけた被災者は言う。「例えば50世になり、子どもたちが『なぜ50世なの?』と尋ねた時、『50年前、大震災が起こって……』と震災の話ができます」。震災を忘れず、次代へつなぐ大切なツールでもある▼背丈が大きく伸び、花の部分が重いヒマワリは太い茎でも支えきれずに折れたり、風で簡単に倒れたりする。今年は支柱を立てたので事なきを得た▼コロナ禍も大雨被害もそうだが、支え合う心が希望となり、生きる力となる。支え合う心は、相手の状況を「人ごと」ではなく「自分ごと」と捉える想像力から生まれる。ヒマワリの花言葉は「あなたは素晴らしい」である。