地域に根差して20年!鹿児島市紫原で評判の整体院です。

〈健康〉 骨粗しょう症

治療の第1目的は骨折予防
骨折しないよう、転倒にも注意が必要
骨折しないよう、転倒にも注意が必要

 骨の強度が低下し、骨折の原因ともなる「骨粗しょう症」。この病気について、成人病診療研究所(長野県安曇野市)で所長を務める白木正孝さん(医学博士)のお話です。

新陳代謝を繰り返す骨

 「骨粗しょう症」は、骨量が減ることで、骨がスカスカになり、骨折しやすくなる病気です。
 日本人の1000万人以上が罹患していると推定されていて、その8割近くは女性です。この病気は、骨折が起こって初めて症状が出てきますから疾患に気が付いていない人も多く、治療をしていない人も大勢います。
 高齢者に多い疾病ですが、若い人が発症することもあり、特に閉経後の女性は罹患の可能性が高くなります。
 「骨」は髪や皮膚と同じように新陳代謝を繰り返し、溶けては作られ、溶けては作られを繰り返しています。これを骨の「リモデリング(再構築)」といいます。
 こうすることで、血液中のカルシウムの調節を行うとともに、古くなった壊れやすい骨を新しくし、その強度を保っているのです。
 この骨の作り替えを行っているのが「破骨細胞」(古い骨を溶かします)と「骨芽細胞」(新しい骨を作ります)です。
 このバランスが取れていれば、骨は溶かされた分だけ生成され、新しくなります。
 しかし、バランスが崩れると、骨量が次第に減少していきます。その結果、骨の密度が薄くなり、骨折の原因となってしまうのです。こうした状態のことを「骨粗しょう症」といいます。

「閉経後の女性」に多い

 「骨粗しょう症」の原因はさまざまですが、次のような場合があります。
 ◇ 
 ①閉経
 女性は閉経を機に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が急激に減ります。
 女性ホルモンは破骨細胞の働きを抑えていますが、これがなくなることで骨は一気に溶けだします。一方で骨の形成が追い付きません。従って、骨量が減ってしまうのです。
 日本人女性は、生涯に30%くらい骨量が減ることが分かっています。
 ②カルシウムの欠乏
 骨に必要な栄養素が足りないと、骨密度や骨質が低下してしまいます。特に骨密度を構成するカルシウムの欠乏は「骨粗しょう症」の原因となります。
 カルシウム不足の要因の一つとなり得るのが間違ったダイエット法です。カロリー制限をするだけでなく、カルシウム摂取量も低いのは、ただの不健康食です。特に骨が成長する10~20歳代のダイエットは、最大骨量が低くなり、閉経後に「骨粗しょう症」を起こしやすくなります。
 また、年をとると腸でのカルシウム吸収が悪くなり、カルシウム不足になりがちですので、注意してください。
 さらには、近年の美白ブームが行き過ぎて、紫外線のほとんどをカットすると、体内で骨の健康に欠かせないビタミンDの産生量が減ります。ビタミンDは腸のカルシウム吸収を促進していますので、この不足は、さらにカルシウム不足に輪をかけます。
 日光に当たることに過度に敏感になることで、カルシウムが欠乏し、「骨粗しょう症」になりやすくなるのです。
 ③その他
 運動不足や痩せ過ぎも、要因の一つとなります。
 さらには、糖尿病やリウマチ、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの疾病がある人も、骨の質が劣化することで、「骨粗しょう症」になりやすいことが分かっています。

他の疾患の要因にもなる

 「骨粗しょう症」で最も気を付けなければならないのが骨折です。骨密度が低下すると骨強度も低下しますから転倒や不注意に荷重を掛けることで大腿骨近位部(太ももの付け根)や脊椎が折れてしまうことが多くあります。
 大腿骨が折れると、手術しないかぎり歩行が困難になって、寝たきりになってしまいます。また、背骨を構成する脊椎が弱くなると圧迫骨折を起こします。脊椎の圧迫骨折は、すぐには気が付かないことも多く、結果として、次々と連鎖して骨折をすることがあり、気が付くと身長が4~20センチも縮んでいたといったことも見られます。
 背中や腰の痛みだけでなく、肺や胃などの内臓が圧迫されることで、呼吸系や胃腸系の疾患を併発する要因にもなります。
 この骨折による身長短縮は治りませんので、合併症である胃腸障害などもまた一生続くことになります。ですから、骨折の予防は極めて重要です。

薬物療法で痛みを軽減

 診断の基本は「骨密度」「骨代謝マーカー」を調べることです。
 加えて、問診やレントゲン撮影で、現在や過去に骨折をしていないかどうか検査します。
 さまざまな骨密度の測定方法がありますが、2種類のエックス線を使う「DXA法」で腰椎や大腿骨頸部の測定を行うことが、最も正確だといわれています。
 正確な「骨密度」を測ることで、治療の効果も判定することができます。最近の治療では骨密度を10%も増やすことができます。
 尿や血液の検査で骨の代謝異常を調べるのが「骨代謝マーカー」です。
 骨が過剰に溶けていないか、骨を形成する能力はどうかなどを調べます。
 また治療で使用する薬剤の決定、その薬剤が効いているかどうかの判定などにも用いられます。
 ◇ 
 治療で最も大切なのは骨折の予防です。そのために行われる一つが薬物治療です。以下では、主な薬物療法を紹介します。
 ①ビスホスホネート製剤
 破骨細胞の働きを抑え、骨の代謝を調整し、3年間で7~10%くらい骨量が増える薬です。
 結果として、骨折の発生は無治療の場合の半分程度になります。
 毎日でなく、週に1回や月に1回の服用で済む薬剤もあります。歯の衛生状態が悪いと顎骨壊死という疾患になることがあるので、使用前には歯科で衛生状態を良くしてから治療を受けるといいでしょう。 
 ②ヒト型モノクローナル抗体製剤
 2013年から処方できるようになった「デノスマブ」という分子標的治療薬があります。
 比較的、重症の方に使われますが、半年に1回、注射すればよいので、患者さんの通院の負担が軽減できます。骨量の増加効果や骨折予防効果も現在の薬物の中では高い方です。やはり歯の状態を良くしてから使用しましょう。
 ③女性ホルモン補充療法
 エストロゲン製剤を使って、女性ホルモンを補充する治療法です。それによって破骨細胞を作るのを抑制し、骨量を増やします。
 ただし、乳がんなどになる危険性が高くなるといった副作用の報告もあり、近年はあまり使用されなくなりました。そこで、骨のエストロゲン受容体だけに作用する「SERM」という薬が使用されるようになっています。骨の量は3%ほど増えます。
 背骨の骨折を予防できますが大腿骨骨折の予防効果は少ないといわれています。
 ④副甲状腺ホルモン剤(テリパラチド製剤)
 骨を作る作用を促進して、骨を強くする薬で、このような作用の薬はこの薬物のみです。
 自分で1日1回、注射するタイプと、通院して1週間に1回、注射するタイプがあります。
 使用することで、骨折をほとんど抑制することができますが、薬価が極めて高価です。
 また2年間程度しか使用できませんので、骨折の危険性が高い人や骨折したばかりの人に用います。

バランス良い食事と運動を

 近年、日本人のカルシウム摂取量が減少、加えて高齢化の進展とともに「骨粗しょう症」の患者数は、ますます増えることが予想されます。
 先に述べたように、治療を受けていない方も多く、結果として、生活の質(QOL)が低下している方も少なくありません。
 この病気を軽視することなく、多くの方が受診するようになれば、骨折を防ぐことができるのです。実際、外国では骨粗しょう症による骨折が、減少し始めたところもあります。
 加えて「骨粗しょう症」は、生活習慣病の一つといえます。
 実際に、症状が現れてから食事療法や運動療法を行っても、劇的な変化があることはわずかです。また、カルシウム不足は、短期間、サプリメントを飲んでも解消されません。
 日頃からの転倒予防のための適度な運動、栄養バランスの取れた食生活などとともに、気になる方は一度、骨密度検査を受けることをお勧めします。

土・日・祝日も営業!出張(訪問)整体をご希望の方は、お気軽に相談下さい。

ご予約はこちら
健友館ゆうき整体院