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〈健康〉 胃・十二指腸潰瘍

ピロリ菌の除菌で完治も

 今回は、「胃潰瘍」や「十二指腸潰瘍」などの「消化性潰瘍」について、国立病院機構函館病院で院長を務める加藤元嗣さん(医学博士)のお話です。

重症化すると腹膜炎に

 食べ物を消化する「胃」や「十二指腸」の粘膜組織が、何らかの理由で、粘膜表面に欠損が起きることがあります。
 その欠損を「びらん」あるいは「潰瘍」といいます。
 「潰瘍」などができると、心窩部痛を感じることが多く、その他、背部痛、吐き気、食欲不振などの症状があります。
 「十二指腸潰瘍」では空腹時に、痛みを感じ、食事後に軽快することが多いのも特徴です。
 まれに、タール便といった「下血」や「吐血」といった症状を伴うこともあります。
 また、「消化管穿孔」といって欠損が漿膜まで貫通して穴が開いた状態になると、急性腹膜炎を発症するなど重症化する場合もあるので注意が必要です。
 出血が止まらないと外科的な手術が必要になりますが、多くは内科的な治療が可能です。

原因は大きく分けて二つ

 「潰瘍」は進行度によって、Ⅰ~Ⅳ度に分類され、傷が粘膜層にとどまっていればⅠ度で「びらん」といいます。Ⅱ度以上の場合を「潰瘍」と呼び、Ⅱ度は粘膜下層まで、Ⅲ度は固有筋層まで、Ⅳ度は漿膜下層または漿膜まで達している場合となります。
 先に述べた通り、漿膜を貫くと、消化管穿孔となります。
 診断には、エックス線検査や内視鏡検査が用いられます。
 胃潰瘍から胃がんに変わることはありませんが、胃がんは潰瘍を合併しやすいことが分かっています。
 潰瘍の存在が明らかな場合には、内視鏡による生検で、悪性の腫瘍でないかどうか鑑別することが大切です。
 「潰瘍」の主な原因は「ヘリコバクターピロリ菌の感染」で70~80%を占めています。
 残りの約20%が薬剤の副作用によるもので、リウマチなどの鎮痛剤として使用される「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」や、脳卒中・心筋梗塞の予防のために飲む「低用量アスピリン製剤」などによる「NSAID潰瘍」「低用量アスピリン潰瘍」となっています。
 近年は、ピロリ菌の感染者数が減ってきていますので、薬剤性の理由による割合が増えてきています。
 薬剤性の潰瘍で注意しなければならないのは、ピロリ菌が原因である場合と比べ、症状が現れにくいという点です。
 消化管出血があり、止血治療が必要な場合もあります。
 ◇ 
 かつては、「ストレス」が「潰瘍」の原因であるといわれていました。
 確かに「ストレス」は「潰瘍」を誘発する要因ではありますが、最近は、それだけが原因となることは少ないことが分かっています。
 例えば、「潰瘍」の原因となるストレスとして挙げることができるのは、レンジャー部隊などでの過酷な訓練、大きな手術を受ける――などといった日常をかけ離れたような状態です。
 かつて、阪神・淡路大震災の後で、「潰瘍」の症状を訴える人が増えたという報告もありました。
 ですから、ちょっとしたストレスがあったからといって「胃潰瘍」や「十二指腸潰瘍」になることはありませんので、心配しないでください。

薬の進歩で治療が変わる

 かつては、対症療法的に胃酸の分泌を抑えることが治療のメーンでしたので、多くの方が再発を経験していました。
 しかし、薬の進歩や原因によって、治療も大きく変わってきています。
 一つは、1980年代に登場した胃酸の分泌をつかさどるヒスタミンH₂受容体を阻害する「H₂ブロッカー」という薬です。
 その後、胃酸を作るプロトンポンプに直接作用する「プロトンポンプ阻害剤(PPI)」「カリウムイオン競合型酸阻害薬(P―CAB)」が登場したことで、かつてのような治療が必要なくなり、ほとんどが通院治療で済むようになったのです。
 以下、主な治療法について紹介します。
 ◇ 
 内視鏡検査や尿素呼気試験、血清・尿中抗体測定法などによるピロリ菌感染検査が陽性であれば、ピロリ菌の除菌治療が有効です。
 「アモキシシリン」「クラリスロマイシン」といった抗生物質の2種類と「PPI」または「P―CAB」1種類を、1週間服用します。
 70~90%は、この治療で除菌が成功し、潰瘍の再発も防ぐことができます。
 抗菌薬の効かない耐性菌ができてしまった場合は、薬の組み合わせを変えて2次除菌を行います。
 なお、除菌療法は、2000年11月から保険適用となっており、積極的に勧められます。
 ピロリ菌感染が陰性で、「NSAIDs」の関与もない場合は、「H₂ブロッカー」「PPI」を使用します。
 「NSAIDs」が原因であれば、その薬の投与を中止することで、症状が緩和されることがあります。
 ただし、リウマチなどの慢性的な疾患で、投与がどうしても必要な場合もあるでしょう。そうした場合は、「PPI」か、胃の粘膜を保護するプロスタグランジンを補う薬や別の鎮痛剤を用いることになります。
 また、出血があれば内視鏡的止血術を行い、止血が不成功だった場合は外科的治療を行うことになります。
 ◇ 
 いずれにせよ、ピロリ菌の感染は、潰瘍だけでなく、さまざまな疾患の原因ともなります。消化管疾患の予防のためにも、気になる方は一度、検査をし、除菌治療を行うことをお勧めします。

 

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