健友館ゆうき整体院の栗野雄二です。
10月に入り、朝晩の気温が一気に下がり、肌寒い感じです。
風邪をひかないように気をつけて過ごしていきましょう(^O^)/
今回の『健康ページ』は薬についてのお話です。参考にして下さい。
正しい知識を持つことが大切
傷病の治療に役立つ「薬」ですが、その反面「副作用」などのリスクもあります。「薬」の効果をきちんと得るためには、何よりも正しい使い方をすることが大切です。そのためには、自身が使っている「薬」に対する正しい知識を持つことが第一歩です。今回は、東京薬科大学の教授で、日本くすり教育研究所の加藤哲太代表の「薬の基本」についてのお話です。
内服薬・注射薬・外用薬の3種類
「薬」は、その形によって以下の三つの種類に大別できます。
①内服薬=いわゆる飲み薬です。口から入り、胃腸を通って吸収されます。主に肝臓で代謝され、代謝されたものや、代謝されなかった残りの成分が、血液により全身をめぐって効果を発揮します。
②注射薬=皮膚から直接、血管内に入れる薬です。有効成分がすぐに全身をめぐるので即効性があります。
③外用薬=内服薬と注射薬以外の薬です。貼り薬・塗り薬・目薬・坐薬など、さまざまな種類があります。口から入れるものでも、吸入薬やトローチなどは外用薬に分類されます。
内服薬の種類
種類によってさまざまな工夫が
「内服薬」にもいろいろな種類があります。
①散剤・顆粒剤=いわゆる粉薬です。粉末状や顆粒状に加工されています。
②液剤・シロップ剤=薬の成分を水に溶かしたものが液剤です。甘いシロップで溶かすとシロップ剤です。
③錠剤=粉末状の成分を塊にしたものです。水で飲むもの以外にも、かみながら溶かす「チュアブル錠」、なめて溶かす「舌下錠」があります。
④カプセル剤=顆粒剤や液剤などをカプセルで包んだもの。
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薬の種類ごとに、吸収速度や作用時間などが違っています。
特に錠剤やカプセル剤には、「いつ、どこで溶けるか」など、薬を効果的に使うための、さまざまな工夫がされています。そのため、錠剤が飲みにくいからといって、砕いて粉状にしたり、カプセルを開いて中身だけ飲むと、効果が得られにくくなるだけではなく、かえって副作用が起こる危険もあります。
効果があるのは薬の一部
実は飲んだ薬の成分の全てが体内で効果を発揮するわけではありません。
一部は肝臓で代謝され、便、あるいは尿と一緒に排泄されているのです。また、性別や年齢、生活環境などによって効き方は千差万別です。
薬の正しい使い方の基本は、決められた用量・用法を守ることです。
薬が一番効くのは血中濃度がちょうど良い範囲の時です。
自己判断で薬の量を増やしたり、飲む回数を増やしたりすると、副作用を起こすことがありますし、逆に量や回数を減らしたりすると、病気が進行・悪化してしまう可能性があります。
医師の処方薬でなく、薬局でいわゆる市販薬を買って使う時には、必ず同封されている「添付文書」を読んでください。そこには、使用上の注意などが書かれています。特に丁寧に読むべきなのは、以下の部分です。
①禁忌(使用すべきでないケース)=守らないと症状が悪化したり、副作用など事故が起こりやすくなる事項について記載されています。
②慎重投与=使用する前に医師や薬剤師など専門家に相談することが望ましい事項について記載されています。
③副作用=予想される身体への悪影響が記載されています。
使い方の注意
①時間帯
薬によって「食前」「食後」「食間」など、服用時間が決まっています。
食前=空腹時に飲むと効果が高い薬に多いです。食事の1時間から30分前に飲みます。「食直前」という食べる直前に飲む薬もあります。
食後=空腹時に飲むと胃が荒れる薬に多いです。食事の後、30分以内に飲みます。
食間=食事と食事の間の空腹時に飲みます。食後であれば2時間を目安にします。
②内服薬の飲み方
錠剤やカプセル剤を水なしで飲むと、喉の粘膜に貼り付いたり、食道で引っ掛かったりし、炎症や潰瘍の原因となることがあります。
コップ1杯程度の水か白湯で飲めば、薬がスムーズに胃腸に達し、効き目を発揮します。
水以外のもので薬を服用すると、相互作用によって効果が変わってしまうことがありますのでやめてください。
また、ベッドなどに横たわったまま飲むと、薬が胃腸に下りていきません。
高齢者の場合、気道に入る「誤嚥」を起こすことがありますので、寝たまま飲むのはやめましょう。
③子どもへの注意
子どもは肝臓や腎臓、脳が未発達なため、副作用が起きやすいです。大人と子どもの薬には分量だけでなく、成分も異なるものがあります。
特に、「アスピリン」「H2ブロッカー」は飲ませてはいけません。
④妊娠中の薬
胎児に影響を及ぼす危険性があるので、妊娠中はなるべく薬の服用は避け、必要最小限の薬だけにします。主治医や産科医と薬の種類や量をよく相談してください。
薬だけでなく、ビタミン剤などにも注意が必要です。
⑤外用薬の使い方
目薬や点鼻薬・点耳薬、軟膏やクリームなどの外用薬も、用量・用法を守るようにします。効果が感じられないからと、倍の量を使っても効果は上がりません。
「薬のセンス」を磨く
近年、がんの薬に代表される「分子標的薬」のように、新たな薬が次々と誕生し、治療法も大きく進歩してきています。
一方で、ライフスタイルの変化や高齢社会の進展とともに、生活習慣病や慢性疾患などの治療で薬を用いている人も多くいます。
そうした中で、健康に生活するためには、自分自身が薬に対する正しい知識を持つことが重要です。
このような知識を私は「薬のセンス」と呼んでいます。
自分自身の体調の変化に対応しながら、薬を正しく使用し、安全で健康な生活を目指していきましょう。