気温とともに湿度も関係
各地で気温が上昇。全国で「熱中症」によって救急搬送された人が増加、亡くなった方も多数出てきました。本格的な夏を迎え、さらなる熱中症対策が必要です。ここでは、効果的なエアコンの使用法などについてまとめました。
屋外だけでなく室内でも発症
屋外で起こるイメージが強い「熱中症」ですが、実は就寝中などに室内で発症するケースも多くみられ、室内にいるから、あるいは夜間だからといって熱中症対策を怠ってはいけません。
厚生労働省では、熱中症予防の啓発や注意喚起のために、ホームページ上などで「熱中症予防リーフレット」を配布しています。
同リーフレットでは、熱中症の予防法の一つとして、「熱中症になりにくい室内環境」を取り上げ、以下の三つのポイントを紹介しています。
①「扇風機やエアコンを使った温度調整」
②「室温が上がりにくい環境の確保」
③「こまめな室温確認、WBGT値の測定」
このうち③の「WBGT値」は「暑さ指数」とも呼ばれる、気温、湿度、輻射熱から算出される指数です。
環境省の「熱中症予防情報サイト」では、全国各地の暑さ指数の実測値と予測値が公表されていますので、これらの情報を参考にしつつ、エアコンなどを活用して、室内温度を適切に保つとよいでしょう。
「暑さ指数」を算出する際は、気温、湿度、輻射熱のうち、とりわけ湿度の比重が多くなっています。従って、熱中症予防では気温だけでなく湿度が重要であり、そういった点からも、扇風機だけでなく、エアコンを適切に使うようにしましょう。
特に、屋内で熱中症にかかる人の多くは、過度の節約意識、あるいは高齢者の場合は暑さを感じにくくなっていることや冷房の風が苦手などといった理由から、エアコンの使用を控えているケースが多いようです。
扇風機を併用して空気を環流させる
エアコンを適切に使用
設定温度は28度が目安
エアコンをつけて温度設定していても、センサーの場所や感度によって、温度が正確ではないこともあります。
室内にいる人数や服装などによって、温度設定を変えるようにしましょう。
一つの目安としては、室温が28度を超えないように設定しておくようにします。
エアコン使用時の注意点は、冷風が直接に人に当たらないようにすることです。
冷気は部屋の低い所にたまりやすいので、扇風機やサーキュレーターなどを利用して空気を環流させると、温度設定を必要以上に下げなくても、涼しく過ごせます。
加えて、すだれやカーテンなどを使い、直射日光を遮ったりするのも効果的です。
また、室内の場所によっては、風通しが悪いために熱気がこもりやすく、熱中症の原因になることがあります。特に、浴室やトイレ、キッチン等は、扇風機や換気扇を回すなどして、風が通るようにすることが大切です。
エアコンの活用は熱中症予防に効果的ですが、だからといって、冷やし過ぎは体に良くありません。
室内の気温をあまり下げてしまうと、涼しい部屋から暑い屋外などに出た時、急激な気温差に体が適応できず、めまいなどを引き起こしたり、気分が悪くなったりすることがあります。
体に負担を掛けないためにも、設定温度をあまり低くし過ぎないようにしましょう。
エアコンの風が直接当たらないように注意
就寝時はタイマーを活用
近年、熱中症の中でも注意が必要なのが「夜間熱中症」です。
就寝時の室温は、25~26度が1番眠りやすいといわれています。しかし、日中、太陽に照らされた建物は、夜になり外気の温度が下がっても、熱を蓄え続けています。従って、就寝間際にエアコンのスイッチを入れても、部屋の空気しか冷やすことができません。
ですから、タイマーが切れた途端に、壁にこもっていた熱が放出されて部屋の温度が上昇。暑さのために寝苦しくなり、目が覚めてしまうのです。
そのたびにエアコンをつければ、結局は一晩中つけっ放しと同様になることも。電気代もかかってしまいますし、当然、夜中に何度も目が覚めると、体調不良の原因にもなります。
快適な睡眠を確保するためには、就寝2時間前になったらエアコンのスイッチを入れ、早めに部屋全体を冷やすようにすると良いでしょう。
夜間は特に、エアコンの風が直接、体に当たらないように気を付けてください。睡眠中は体温が低下しますが、特に朝方は、最も体温が下がる時間帯です。就寝中、汗をかいて冷えた体に、エアコンの風が当たると、体温が下がり過ぎてしまい、夏風邪の原因にもなります。
就寝時は、設定温度を最低でも27度程度とし、3時間ほどで切れるようにタイマーをセットすると良いでしょう。
関連するホームページ
○環境省
パソコン用=https://www.wbgt.env.go.jp/
携帯電話用=https://www.wbgt.env.go.jp/kt
○日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針」Ver.3
https://www.med.shimane-u.ac.jp/assoc-jpnbiomet/pdf/shishinVer3.pdf