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コラムより
世界的大流行を意味する「パンデミック」は、古代ギリシャ語の「すべての人々(pandemos)」が語源という▼伝染病は、だれにでも感染の可能性がある。こうした危機を乗り越えるには、どうするか。哲学者の岸見一郎氏は「『勇気』がすべての人に伝染しなければなりません」と強調する▼それはどんな「勇気」なのか、氏は二つ挙げる。一つは“他者を仲間だと思う勇気”。皆が共に闘う同じ人間であり、感染の有無によって地域や人々を差別しない。もう一つは“悲観的にも楽天的にもならない勇気”。個人の力が及ばない問題であっても諦めない。氏は「悲観主義でも楽天主義でもなく、『楽観主義』に立たなければなりません」と(『今ここを生きる勇気』NHK出版新書)▼厳しい現実を前に“どうしようもない”とうなだれるのでもなく、“何とかなる”と甘く見るのでもない。決して希望を失わず、目前の課題に向かって“今、自分にできること”を実行する。楽観主義の人は、不屈の心の人であるとともに、弛まぬ行動の人ともいえよう▼「現実」を見つめつつ、「現実」に屈しない。目の前の一人に真心の励ましを送り、その輪を足元から広げていく。この“たくましき楽観主義者”が、社会を根底から支える力になる。