おはようございます。健友館ゆうき整体院の栗野雄二です。今日は久しぶりに朝から雨も降らず、清々しい朝を迎えました。一日笑顔で爽やかに過ごして参りましょう!!
繰り返される下痢や便秘
繰り返す下痢や便秘、腹痛によって生活に支障が出て悩んでいる人も多いでしょう。今回は、ストレスなどによって腸の働きが不調になる「過敏性腸症候群(IBS)」について、旭川医科大学病院(北海道旭川市)で総合診療部長を務める奥村利勝教授のお話です。
10~20代が発症のピーク
朝、学校や勤務先に向かう列車に乗っていると、急に腹痛を感じ、トイレに行くために下車。落ち着いたので、列車に乗って目的地に向かうものの、再び途中の駅で降りてトイレへ――そんな経験のある人もいると思います。
「過敏性腸症候群」では、傷んだ食物を摂取したわけでもないのに、下痢や便秘が繰り返し起きます。
特に、ストレスや不安・緊張を感じている状況で症状が悪化します。
従って、症状が出るのは、自宅以外の目的地に向かう時、会議や仕事中などだけで、帰宅時や休日には出ないという特徴があります。
10~20代が発症のピークで、年齢が高くなると頻度は下がります。また、日本では、男性に比べると女性の方が約1・6倍、患者数が多くなっています。
命に関わる病気ではありませんが、約束の時間に間に合わなかったり、仕事や勉強に集中できないなど、社会生活に支障が生じてしまいます。
症状によって3つのタイプ
症状によって、「下痢型」「便秘型」「混合型」の三つのタイプに分類されます。
便秘型は女性に、下痢型は男性に多く見られます。ただし、人によってはタイプが変わることもあります。
疫学的な統計では、成人の10%前後の患者数がいるといわれています。
しかし、腹痛や腹部の不快感の症状だけでは、医療機関を受診することをためらう人が多く、実際に受診しているのは、その半数程度しかいません。
ただし、同じような症状を呈する病気として、「クローン病」「潰瘍性大腸炎」、あるいは薬の副作用ということも考えられます。
この3カ月間で、腹部の不快感が何度かあり、下痢や便秘など便通異常が見られ、その症状が、排便すると和らぐ場合などは、一度、消化器内科を受診することをお勧めします。
他の疾患がないか検査を
受診した際には、腫瘍や潰瘍、炎症といった器質的疾患がないかどうか確認するため、内視鏡、血液検査など、いくつかの検査を行います。
その結果、腸の炎症が認められないなど、他の疾患でない場合に「過敏性腸症候群」と診断されます。
この病気では、腸の運動や感覚機能に異常が生じていると考えられ、実際に知覚検査を行うと、腸が過敏になっていることが分かります。
従って、腸の運動や感覚と密接に関係する脳がストレスを感じることが原因となって、症状が現れているのでしょう。
器質的な疾患が認められないため、治療では、症状の軽減が目的となります。まずは、医師の話をよく聞くことが何よりも大切です。
精神的ストレスなどで悪化
焦らずに治療を継続
その上で、次のような療法を行うことになります。
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①生活習慣の改善
精神的な要因が大きいので、ストレスを与えないようにすることが必要です。1日3食を規則正しく食べることや、きちんとした睡眠時間の確保、散歩やウオーキングなど適度な運動を心掛けてください。
②食事療法
腸に刺激を与えないように、カプサイシンやカフェインの含まれる物は摂取しないようにします。また、脂肪を多く含む食品は控えた方が良いでしょう。
便秘型の人は食物繊維の多い食品を取ります。ただし、ブロッコリーやキャベツなど、糖質の多い食品は、腸内で発酵して便通異常を起こす恐れがあると考えられていますので気を付けてください。
③薬物療法
高分子重合体である「ポリカルボフィルカルシウム」、消化管機能を調節する「トリメブチンマレイン酸」などの薬を用います。
また、下痢型では整腸薬、便秘型では下剤を使います。腹痛が強い場合には、「抗コリン薬」や「抗うつ薬」が使用されることもあります。
以前の便秘薬は、腸を刺激して排便を促していました。しかし、最近の薬は腸内の水分量を増やして便を軟らかくするタイプのものもあります。
また、下痢型でも、男性にしか使用できなかった「ラモセトロン塩酸塩」という薬が女性にも使用できるようになっています。
多くの種類の薬がありますので、最初に選択した薬に効き目がなければ、他の薬を用いたり、複数の薬を併用します。医師と相談しながら治療を進めることが大切です。
④心理療法
①~③の治療を行っても効果が見られない場合は、心療内科の専門医の受診も検討します。
この病気では、症状の軽減が治療のゴールとなります。すぐに完治する病気ではありませんので、焦らずに、病状を改善していくことが必要です。
先に述べたように、治療に際しては医師との信頼関係の構築が必要です。すぐに薬の効果がないからと、他の医療機関に移るような、いわゆるドクターショッピングは避けた方が良いでしょう。
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この病気は、命に関わる病気ではなく、一生涯続くことも少ないです。しかし生活の質(QOL)が下がることは確かです。診療内容をしっかりと説明してくれる医師と良好な関係を築き、まずは自身の生活習慣を見直すところから始めてみてください。